【塾の毎日/どうしてからどうしたらに変えてみよう。】

どうして分かってくれないの?
どうして伝わらないの?
どうして・・・

このテーマはこの『塾の毎日』というコラムでも何回か書いているのですが、今回もこのフレーズをテーマに書いてみようと思います。

『どうして分かってくれないの?』と思うことって教える仕事に携わっているとよくあるかもしれません。たまにSNSのDMなどでどこかの塾などで働いているのかな、という方から突然『こういう問題でこう説明しているのに生徒が分かってくれません。どうしたらわかってもらえますか?』という質問だったり、誰にでもすぐにわかってもらえる解説法を教えてほしいとメッセージが送られてくることがあります。

いつもそういうメッセージを頂いたときには、『どうして』という発想を『どうしたら』という言葉に置き換えて発想してみると色々発見があると思いますよとお返事することにしています。『どうして』という発想、深く掘り下げていくと『自分はこれで分かるのに、なぜ分からないんだ』という自分基準の視点からの発想になっていくのではないかなと僕自身は感じています。人は今まで経験してきたことも、その出来事から気付いたり考えたりしたことも様々。だから基準というのは多くの時間を一緒に過ごしてきた人でさえ必ずズレがあるもの。『どうして』を発想のスタート視点にしていると、誰かの困っていることをサポートするお仕事に携わるケースであれば、うまくいかないことの方がほとんど、となってしまうでしょう。

それに対して『どうしたら』というスタート地点をいつも考えるときの起点とする癖をつけていくと、まずは今の相手の状況、つまり相手の基準というものを知ろう、理解しようというスタンスになります。困っている人をサポートするためには、こちらの基準を押し付けるのではなく、サポートされる側の今まで、そして今の考えやペース、これからの希望などを知ることから始めていかなければなりません。そのうえで『どうしたら伝わるだろう?』『どういう説明をすると考えやすいだろう?』と考えていくと、前向きな気持ちをお互い生み出していけると思います。

育ってきた環境が違うから、好き嫌いは否めない。って歌詞が昔『セロリ』という楽曲にありましたが、まさにみんなひとりひとり育ってきた環境が違うのだから、自分の基準を押し付けてもそれは違うよとなってしまいます。サポートする立場にいるときには、『どうして』じゃなくて『どうしたら』という発想で常に考えるようにしてみると、自分の説明する力や相手の才能を引き出す力を伸ばすことができると思います。

僕自身は生徒達のサポートをさせてもらう日々で毎日『どうしたら』と自然と考えるようになっているので、日々新たな自分自身への課題や目標ももらって、自分自身を育てることもできているのかなと感じています。