【塾コラム vol.8 /すぐにはできない。】

企業の人財育成や研修のアドバイスをしたり、実際にお仕事として研修担当を務めることがあります。そのときによく耳にするのは『すぐに一人前に』『すぐに即戦力の人材を』という言葉。残念ながら、そういう言葉が研修担当の方、育てる立場にいる方々に飛び交っている場所では、人財は定着せず、採用してはほとんどの人が去り、そしてまた採用するもやっぱり人が去り・・・最終的には元々働いている方の負荷も大きくなりという悪循環になっているケースが見受けられます。

そんな場面に出会った時に私は自分がこの会社で仕事を始めた時、あるいは初めてアルバイトをしたとき、もっといえば子供の頃何かにチャレンジしてできるようになるまでの苦労を振り返ってみてもらうことにしている。少なくとも、私自身はすぐにできるようになったことってひとつもない。もちろん、そういう才能を持っている方はいると思うけれど、多くの方はきっと私と同じように、新たにチャレンジして、心折れそうになったり、もう投げ出したくなったり、そんな経験をしながらできるようになったという経験をしたことがあるんじゃないかなと思っている。もう今月で42になるけれど、今でもやっぱりすぐできるようになるものなんてひとつもなくて、できるようになるためにはそれなりの時間と過程が必要だよね~と思いながら何かしらの新しいチャレンジを続けている。

どうしてすぐにできるようにならないんだ?そう問う方には、じゃあどうしたらすぐにできるようになります?と問う。そうすると、大抵そんなのは自分で考えるべきものと返ってくることが多いけれど、そこにさらにちなみに〇〇さんのすぐにできるコツは?って尋ねてみると、大抵すぐにできるなんて考えちゃいけないね、という意見に同意して頂けることが多い。

どうしてできないの?どうしてやらないの?

まだ『できる』ようにこれからチャレンジする方に向かってこの質問をしても、それは全く意味のない質問かなと思います。だって、まだその『できる』への地図や必要な道具が目の前にあるだけで、地図の見方や道具の使い方も分からない状態なのだから。逆にできるようになってもらいたいと願うならば、自分自身ができるようになった、その経験を振り返り、どうしたら『できる』ようになるだろう?そのために、どんなアドバイスやサポートができるだろうって考えてみることです。どうしてできないんだ、と言っている限りそこから前に進むことはありません。

私は中学生の頃に家庭教師を始めた時、ひとつだけ自分自身の中でちゃんとしようと思っていたことがありました。

授業の時に宿題をちゃんとやろうね、という人がもし自分が学校から出された宿題をちゃんとやっていないなら、生徒達は宿題をやってくれないと思う。苦手な教科、諦めたくなるものでも、まずは自分自身が諦めずに取り組める方法を考えて、自らの行動が手本になるようにしなければいけない。自分ができないことをできる人って凄いなと思うので、そのときはその思いをそのまま伝えてお願いしよう。

いつでも自分自身が何かをできるようになった時の記憶を振り返り、『すぐにはできない』ってことを心に留めておくと、『できる』への一歩を踏み出すよいアドバイスができる先生、アドバイザーとして成長していけるのかなと考えています。

だから、Eduの塾ではまずは勉強を通して自分自身が何かをできるようになる方法を一緒に考え、その取り組みを積み重ねていくことで、将来自らのやってみたいをカタチにできるように自分なりのチャレンジ方法を見つけてもらえるようにサポートしていきたいと考えています。